コンフォート義歯は生体用シリコーンが使用された義歯であり、従来の義歯に比べて痛みが出にくく、なおかつ噛む力も強くなります。
しかし、タコやイカなどの食材は、コンフォート義歯であっても食べづらいとされています。
今回は、こちらの主な理由について解説します。
シリコーンのクッション性による沈み込み
コンフォート義歯の最大の特徴は、歯茎に当たる部分に施された生体用シリコーンのクッション性です。
この柔らかい層が噛んだときの衝撃を吸収し、痛みを劇的に和らげてくれます。
しかし、タコやイカのように強靭な弾力を持つ食材を強く噛み切ろうとした際、このクッション性が逆に仇となることがあります。
力を入れて噛み込んだ瞬間に、義歯全体がクッションの厚み分だけわずかに歯茎へと沈み込んでしまうのです。
この沈み込み現象が起きると、人工歯の先端に加わるはずの強い圧力が逃げてしまい、ゴムのようにしなるタコやイカの繊維を完全に断裂させることが難しくなります。
結果として、いくら力を入れても噛み切れないという現象が起こりやすくなります。
人工歯の構造とすり潰し機能の限界
天然の歯には、硬い繊維や弾力のあるお肉・魚介類を細かく引きちぎり、すり潰すための複雑で鋭い溝が備わっています。
対して、義歯に使用される人工歯は、安全性を考慮して実際の天然歯よりも噛み合わせの面積が狭く設計されていることが多く、その表面の溝も平坦になりがちです。
タコやイカは噛むと縦横にぐにゃりと変形し、刃物のように鋭く噛み合わなければすり潰せません。
コンフォート義歯によって噛む力自体は通常の入れ歯の約2倍に高まるとされています。
しかし人工歯の形状自体が平滑であると、食材が歯の表面を滑ってしまい、繊維を細かくバラバラに粉砕する効率が天然の歯と比べてどうしても劣ってしまいます。
薄い食材特有の噛み合わせのわずかな隙間
タコやイカの刺身や薄切りにされた身は、非常に薄くてしなやかです。
入れ歯という構造物は、どれほど精密に作られていても、顎の動きや時間の経過に伴う歯茎の変化によって、上下の人工歯の間に肉眼では見えにくいほどの隙間が生じることがあります。
実は、入れ歯はフランスパンやナッツのような“厚みがあって硬いもの”を破砕するのは比較的得意ですが、薄くて弾力のあるものは噛み切るのが苦手です。
噛み合わされた人工歯と人工歯の間に、イカの皮やタコの身がすっと入り込んで逃げてしまい、ハサミの噛み合わせが悪いときのように、挟まった状態でストップしてしまいます。
これが、どれだけ噛んでも口の中に残り続ける原因です。
まとめ
コンフォート義歯は非常に高品質であり、これ以上に噛みやすい義歯は存在しないと言っても過言ではないほどです。
しかし、タコやイカのように、どうしても天然歯と同じようには噛めないものが存在するのも事実です。
そのため、天然歯を多く残すことがいかに大事なことか、まだ義歯が必要ない段階でも理解しておくことが大切です。
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