インプラントは、インプラント体を顎の骨と結合させ、その上に上部構造を被せることで、まるで天然歯のような歯をつくり上げるというものです。
またインプラントにおける上顎と下顎には、結合に関する違いがいくつかあります。
今回は、具体的にどのような違いがあるのかについて解説します。
骨質と初期固定
上顎と下顎では、インプラントを支える骨の硬さと密度が大きく異なります。
上顎の骨は、内部にあるスポンジ状の海綿骨の割合が高く、全体的にやわらかくてスカスカした構造をしています。
そのため、手術直後にインプラント体をねじ込んだ際の初期固定が得られにくい傾向にあります。
一方の下顎は、外側を囲む皮質骨という緻密で硬い骨が厚いため、強固な初期固定を容易に得ることができます。
この骨質の差は、噛み合わせの圧力を受ける構造の違いに由来します。
上顎は頭蓋骨全体で衝撃を分散できますが、下顎は単独で強い咀嚼力を受け止める必要があるため、もともと頑丈で緻密な骨構造組織として発達しています。
結合にかかる治癒期間
骨の密度は、インプラント体が周囲の骨と分子レベルで完全に結合するまでの治癒期間に直結します。
骨がやわらかい上顎の場合、チタン製の人工歯根に骨細胞がしっかりと付着して一体化するまでに時間がかかります。
そのため、一般的な上顎の結合期間は約4ヶ月〜6ヶ月以上の長い時間を必要とします。
これに対して、骨密度が高く血流も安定している下顎は、インプラント体との定着反応が非常にスピーディーに進みます。
下顎の結合期間は約2ヶ月〜3ヶ月と、上顎の約半分の期間で済むケースがほとんどです。
このように上下顎で数ヶ月の差が出るため、全体の治療スケジュールを立てる際は、埋入する部位の骨密度に応じた慎重な待機時間の設計が不可です。
解剖学的リスクと追加手術
上下の顎にはそれぞれ特有の空洞や神経が存在し、これが結合や手術の難易度に影響します。
上顎の奥歯の上方には上顎洞という大きな副鼻腔があります。
歯を失うとこの空洞が拡大して骨が薄くなりやすいため、インプラントを結合させるだけの骨量が足りず、骨を増やす追加手術が必要になる頻度が高いです。
一方の下顎の奥歯の内部には、下顎管という太い神経と血管が通る重要な管が走っています。
下顎の治療では、この神経を傷つけないように慎重に距離を保って埋入する技術が求められます。
つまり上顎は骨の高さやボリュームを確保すること、下顎は重要神経を回避するための精密な位置取りをすることが重要だということです。
まとめ
インプラント治療を受けようとする方は、前述したような上下の顎の結合における違いを知ることで、治療後に違和感があっても気にせず生活しやすくなります。
また可能であれば、インプラントで起こり得るトラブルについてもある程度把握しておき、その対処法についてもあわせて理解しておきましょう。
歯科クリニックのカウンセリングでは、これらの内容について詳しく質問できます。
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